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はじめに

財務会計基準機構(FASF)は、2026年7月、「半期報告書の作成要領(2026年9月期提出用)」等を公表しました。当該作成要領には、原則として2026年6月1日までに公表された法令や会計基準等の改正内容が反映されています。今回の改正では、サステナビリティ開示に関する事項や株主総会前の有報提出に関連する開示変更など、実務上の影響が大きい事項も含まれています。本稿では、2026年9月期提出用の半期報告書の作成に当たって留意すべき主な改正事項について解説します。

サステナビリティ開示

2026年2月に「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」が公表されました。2028年4月1日以後に開始する事業年度(ただし、平均時価総額3兆円以上の会社は2027年4月1日以後に開始する事業年度)に係る半期報告書から適用開始となりますが、当年度より早期適用が可能です。改正開示府令では、サステナビリティ開示基準の適用開始に向けた環境整備がなされており、適用対象会社や適用時期、開示項目の追加などが示されています。改正開示府令を早期適用する場合の半期報告書に係る具体的な改正内容は以下のとおりです。

(1)概算値と確定値の差異

「第一部 企業情報」の「第2 事業の状況」に「サステナビリティに関する考え方及び取組等に関する特記事項」が追加されました。前事業年度に係る有価証券報告書に見積りの方法により算定した概算値を記載した場合で、当中間会計期間に判明した確定値との間に差異があるときは、当該差異の状況及び差異が生じた理由を自主的に記載することができます。

第2 【事業の状況】

1 【事業等のリスク】

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

3 【重要な契約等】

4 【サステナビリティに関する考え方及び取組等に関する特記事項】 ※記載する事項がない場合は項目含めて記載を要しない

(2)将来に関する事項

「第2 事業の状況」の各項目に将来に関する事項を記載する場合には、従来の①に加えて②~④の事項を記載しなければなりません。なお、投資者に誤解を生じさせない範囲内において、将来に関する事項が含まれる箇所を特定したうえで、一定程度集約して記載することができます。

① 将来に関する事項が含まれる旨及び当該事項は当中間連結会計期間の末日現在における判断である旨

② 将来に関する事項に係る記載内容が事後的に異なるものとなる可能性がある場合には、その旨及びその要因

③ 将来に関する事項を記載するに当たり前提とした事実及び仮定並びに推論過程

④ 情報の入手経路の確認を含む将来に関する事項の適切性を検討し、評価するための社内手続

有価証券報告書の定時株主総会前提出

サステナビリティ開示と同様に、2026年2月の開示府令の改正において有価証券報告書の総会前開示に関する変更があり、当年度の半期報告書より適用されます。具体的な改正内容は以下のとおりです。

(1)大株主の状況及び議決権の状況

改正前は中間会計期間末日現在の状況を記載することが求められていました。一方改正後は、中間会計期間末日から半期報告書提出日までの間に中間配当に係る基準日を設けている場合は、当該基準日現在の情報を記載します。ただし、これによることが困難な場合には、中間会計期間末日現在の情報を記載します。なお、中間配当に係る基準日を定めていない場合や基準日が中間会計期間末日の場合は、上述の「困難な場合」にしたがって中間会計期間末日現在の情報を記載することになるため、従前から変更はありません。

(2)役員の状況

開示府令の改正により、2026年3月期の有価証券報告書から、役員の状況に関係する内容が有価証券報告書提出後に開催される株主総会の決議事項になっている場合でも、その旨や概要を記載することが不要となりました。この点、直近の有価証券報告書に記載していなかった新任役員及び退任役員については半期報告書への記載が必要であることは明確である一方、再任された役員に関しては記載の要否が不明瞭であったため、役員の異動に該当せず当該記載は不要と考えられる旨が追記されています。なお、役員の役職の異動があった場合には、従前どおり当該役員の氏名、新旧役職名及び異動年月日の記載が求められる点に留意してください。

重要な契約等

従前より、財務上の特約が付された金銭消費貸借契約及び社債を締結又は発行した場合、これらの財務上の特約が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のあるときは、その締結日・発行日や特約の内容等の記載が求められていました。今回の開示府令の改正により、連結会社間で締結又は発行されたものは開示対象から除外されることが明確化されています。

経理の状況

(1)リースに関する会計処理等

2024年9月に企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等が公表され、昨年度より早期適用が可能となっています。これに対応して連結財務諸表規則・財務諸表等規則が2025年8月に改正されており、当該会計基準を早期適用する場合の「経理の状況」の冒頭記載が追加されたほか、適用初年度の経過措置にしたがって遡及適用を行わない場合に、会計方針の変更に関する注記において、通常求められる内容に変えて注記する事項が定められています。

通常の注記

早期適用する場合の注記

税引前中間純損益金額に対する影響額及びその他の重要な項目に対する影響額

・適用初年度の期首の貸借対照表に計上されているリース負債に適用している借手の追加借入利子率の加重平均

・追加借入利子率で割り引いた適用初年度の前会計年度等の末日において開示したオペレーティング・リースの未経過リース料と適用初年度の期首の貸借対照表に計上されているリース負債との差額の説明

(2)上場企業等が保有するベンチャーキャ ピタル(VC)ファンド の出資持分に係る会計上の取扱い

2025年3月に改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」が公表され、昨年度から早期適用が可能であり、当年度からは原則適用となっています。当該改正移管指針を当年度から適用する場合には、会計方針の変更について注記することになるほか、改正移管指針で求められている金融商品に関する注記事項が改正連結財務諸表規則・財務諸表等規則に追加されています。

注記が求められる場合

注記事項

組合等の構成資産に含まれる全ての市場価格のない株式について時価をもって評価し、組合等への出資者の会計処理の基礎とする取扱いを行っている場合

・当該取扱いを適用している旨

・当該取扱いを行う組合等の選択に関する方針

・当該取扱いを行っている組合等への出資の中間貸借対照表計上額の合計額

(3)期中財務諸表に関する会計基準

2025年10月に企業会計基準第37号「期中財務諸表に関する会計基準」が公表され、当年度より原則適用となります。当該基準は、四半期財務諸表に関する会計基準と中間財務諸表に関する会計基準を統合した基準として開発されたものであり、個別に検討が行われた取扱いを除き、基本的に従前の取扱いを踏襲することになります。

個別に検討が行われた取扱いのうち、有価証券の減損処理及び棚卸資産の簿価切下げの方法については、洗替え法が原則となります。これに伴い、切放し法から洗替え法に変更する場合は、会計方針の変更に該当し、注記が必要となります。ただし、従前から切放し法を適用していた場合は、その旨を注記したうえで継続して切放し法を適用することができるため、実務上、会計方針の変更が行われるケースは限定的であると考えられます。

有価証券の減損処理の方法として切放し法を適用する場合の注記例

(中間損益計算書関係)

○ 当社は、当中間会計期間に係る有価証券の減損処理の方法として、切放し法を適用している。

期中レビュー報告書

期中財務諸表に関する会計基準の適用に伴って、期中レビュー基準報告書第1号「独立監査人が実施する中間財務諸表に対するレビュー」が2026年3月に改正されているため、半期報告書に添付する期中レビュー報告書についても、これらの改正内容を反映した記載とする必要があります。

改正前

改正後

・・・我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に・・・

・・・期中財務諸表に係る我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に・・・

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